個人の相続税対策

個人の相続税対策

 相続税を節税する方法としてよく利用される方法に、以下の2つ対策があります。

  • 「生前贈与」を中心とした相続税の節税のための対策

  • 相続税の「納税資金を確保する」と考えていく対策

 もちろん、他にも方法はありますが、ここではこの2点に絞ります。
 第一に、生前贈与によって相続税を節税する方法は他の項目で記していますが、生前贈与をすることで、相続時に発生する相続税そのものを減らしていこうと考えていく方法です。これをしておくと、当然、相続発生後の財産が減ることになりますから、相続税評価総額が減額され、結果として納めるべき相続税が減るというものです。
 生前贈与は、様々な注意点もありますので、事前に税理士等にご相談されることをお勧めします。
 ※ なお、3年以内の贈与は相続財産に含まれるため、贈与効果はありません。

 第二に、納税金を準備する方法です。方法としては、生命保険を使って納税金を準備することです。
 相続税を、不動産などの資産を処分せずに一括で現金で支払えるように、「生命保険金を利用して納税のための資金を準備できるようにする」のがこのタイプの対策です。
 具体的には、被相続人の加入している生命保険の受取人を相続人にしておけば、相続人には死亡保険金が入ってきますので相続税を支払うことができます。
 さらに、生命保険金の場合、【500万円×法定相続人の数】の金額は相続税がかからないことになります(生命保険の非課税限度額)。
 保険契約者および被保険者を相続人として、保険料負担者を被相続人とする契約であれば、相続が開始したときに生命保険契約に関する権利を相続人が引き継ぐことになります。
 生命保険契約に関する権利に対しては、相続開始まで支払っていた保険料に対して相続税が課税されることになりますが、その評価は支払済み保険料の70%から保険金額の2%を差し引いた額が評価額となります。
 なお、その権利自体は相続人が引き継いでいくことになりますが、それまでに支払っていた分に関してはかなりの節税効果が期待できます。

大きな土地には建物を建てると評価額が下がる?

駐車場等として利用している土地等、更地として利用している土地に賃貸用のマンションやアパートを建てると、土地の評価額が下がり、相続税対策になるというような話を聞いたことがある方も多いと思います。
 駐車場や空き地に賃貸用のマンションやアパートを建てると、土地の評価額は建築前に比べ、一般的に約80%になります。
 しかし、この方程式は全ての場合に該当する訳ではありません。その土地が、どこにあるのか、広さは何㎡あるのか。場合によっては、更地のままでも評価額が低い場合があります。
「広大地」と呼ばれる一定以上の面積の土地の場合がその例外に当たります。一般的に首都圏の場合「原則として500㎡以上」の土地の場合に該当します。
 なお、「広大地」に該当するかどうかは面積の基準だけではありませんし、地域によっても基準となる面積が異なりますので、各区市町村に確認することが大切です。
 この「広大地」に該当した場合、土地の評価額は60%未満になる場合すらあるのです。
 ならば、わざわざ「広大地」に賃貸用マンションやアパートを建てず、更地のままでも、土地の評価はかなり減額できるのです。
 この「広大地」は減額が大きいだけに忘れると相続税の過大納付も多額になります。
 ご注意ください。
 相続税対策は、自分の置かれている状況を正確に判断し、どの相続税の対策が状況に合っているかを見極めて、実行していただきたいと思います。

 ※ なお、ここでご紹介しているのは、あくまでも参考事例です。すべての方に当てはまる訳でもありませんし、
  それぞれの方のご事情により、税理士さんなどにもご相談せれてご対応ください。