遺産分割協議で注意が必要な場合

遺産分割協議で注意が必要な場合

遺産分割協議や遺産分割協議書を作成するとき、注意が必要な場合があります。

認知症の方がいる場合の注意点

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相続手続きを進めるためには、相続人全員が遺産分割協議の内容に同意していることが必要となりますので、意思表示が出来ない相続人がいる場合、手続きを進めることが出来ません。

このような場合には、意思表示ができない相続人に代わって遺産分割協議に参加する代理人、所謂後見人が必要になります。

認知症の方が相続人にいる場合、まず家庭裁判所に後見人の選任申立てを行い、後見人が選任された後、後見人を含めた相続人全員で遺産分割協議を行います。

※なお、認知症の程度によって、後見人の種類が変わることがあります。
また、後見人が選任されるまでには、認知症の方の鑑定等が必要な場合もあり、1~2ヶ月を必要とする場合もあります。
相続手続をスムーズに進めるには、早めに専門家にご相談いただく方法もあるでしょう。

未成年者がいる場合の注意点

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通常、未成年者の代理人は親ですが、その親と、子が揃って相続人となるケースが多くあります。

このような場合、親と子供の利益が相反するため、親が併せて子供の代理人となって 遺産分割をする事が出来ません。

子供の財産の権利は親でも侵させないよう、法律で守られています。
このような場合、特別代理人の選任を家庭裁判所に申立てをしなくてはなりません。

胎児がいる場合の注意点

胎児にも相続人の権利が認められますが、必ずしも胎児が元気に生まれてくるという確証はありません。
相続人に胎児がいる場合は、胎児が生まれてから作成した方がいいでしょう。

不在者がいる場合の注意点

相続人の中に行方不明者がいる場合は、以下のいずれかの手続を経てから遺産分割を進める必要があります。

1.失踪宣告をしてから、遺産分割協議をする

失踪宣告をすると、行方不明の相続人は死亡したとみなされます。
そうすることで相続財産の名義変更等を進められるようにします。

しかし、失踪宣告をしても行方不明の相続人の相続分が消滅するわけではありません。
ですから、行方不明の相続人に子が居る場合には子が代襲相続することになります。

失踪宣告が認められると、その人は、最後に生存していることが確認されたときから7年を経過した時点で死亡したこととなります。
(※災害や船の沈没、戦争など特別な危難に遭遇したことが行方不明の の原因である場合には、危難の時点となります。)

2.不在者の財産管理人を選任してから遺産分割協議をする

行方不明の相続人が行方不明になってから、さほど長い年月が経っていない場合には、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任してもらう方法が有効です。

不在者財産管理人は、行方不明の相続人の財産を管理したり、行方不明者に代わって遺産分割に参加することになります。

上記のように、相続人のなかに行方不明者がいても、法的手続をとることで遺産分割ができるようにするのです。「行方不明の相続人がいるから・・・」と言って何もしないと、いつまで経っても遺産を分割することができず、放置されたままになってしまいます。

相続人の一人が分割前に推定相続分を第三者に譲渡した場合

相続人の一人が勝手に相続分を第三者に譲渡してしまったら、他の共同相続人は、第三者が遺産分割に介入することを防ぐため、相続分の価額や譲渡に要した費用を償還して、第三者から相続分を買い戻すことができます。

遺産分割協議のやり直しが認められるケース

やり直しが認められる場合としては、以下の様な場合が考えられます。

(1)遺産分割協議時に、詐欺・錯誤・強迫などがあった場合

(例)相続人が他の相続人にだまされていた

(2)遺産分割後に、遺産分割時の条件が変更された

(例)新たに遺産が発見された、新しい相続人が現れた